HOME >> 安寿の知恵 >> サプリメントの上手な摂り方 「7つのガイドライン その2」

その二、マルチビタミン・ミネラルをベースにすること

◇偏りのない栄養素の摂取

サプリメントを有効に活用する「3-5-7」ルールの「7」にあたる「7つのガイドライン」のその一は、「正しい食事を心がけた上でサプリメントをとること」でした。

その二の「マルチビタミン・ミネラルをベースにすること」は、多様性とバランスを踏まえて、ある種の栄養素を摂り過ぎたり、またある種の栄養素が欠乏することを防ごうという意味です。

ここでの栄養素とは、アミノ酸、ビタミン、ミネラル、不飽和脂肪酸など必須栄養素のことを指します。
必須栄養素には約50種類があり、「体内で合成できないので、不足しなければ欠乏症が現れる栄養素」と定義されます。

代表的な欠乏症に、夜盲症(ビタミンA),脚気(B1)、壊血病(C)などがあります。それらの病気には他のどんな薬も効かず、壊血病の患者は、ビタミンCをとること以外に治癒する方法がないのです。
近年、イソフラボンやポリフェノール化合物など、体の動きを高める、あるいは、体を健康にする物質に脚光が向けられていますが、それらの物質を「生理活性物質」、またそれらの物質を含む食品を「機能性食品」と言ういい方ができても、必須栄養素ではありません。
それらの物質を不足したから、壊血病のような欠乏症が現れるわけではないからです。

◇ 拮抗による栄養素の消耗

栄養素をある一つだけを不足していて、そのほかの栄養素をすべて充足しているということは稀であるといえます。
ファストフードや外食で食事を済ます人はビタミンCを不足しがちですが、同時にカルシウム、マグネシウム、亜鉛、ビタミンB群も高い確率で不足していると考えられます。

そのため、ある一定の栄養素だけのサプリメント、あるいは、限られた種類の栄養素が含まれた健康食品を長期的にとることにより、ある種の栄養素の過剰摂取が生じやすくなり、その一方で欠乏する栄養素が出てくることになります。ある栄養素の過剰摂取によって、他の栄養素が消耗されたり、働きが損なわれることを拮抗といいます

例えば、カルシウム単体の補助食品を摂り続けることでマグネシウムの不足を招きます。
カルシウムの過剰摂取が続き、マグネシウムが不足するとでマンガンが不足しやすくなることが微量元素学会で報告されています。
またコンブの健康食品を長期的にとり続けるとヨウ素の過剰摂取を招き、卵油ではリンとリノール酸が多く摂られることになります。

過剰摂取については、一般の人が思っているほど簡単に栄養素の過剰摂取が現れるわけではありません。
例えば、加工食品をあまりとらず、未精製の穀類など主食をしっかり取る人が亜鉛のサプリメントをとったとしても、食事で銅がとられているので、亜鉛によって銅の欠乏症が現れることはまれです。
また腸内環境がよく、腎臓の働きが正常だと、とりすぎたミネラルを排出してくれます。
反対に、食事の内容が相当に悪く、ある種のサプリメントに依存していると、過剰摂取の影響が現れやすくなります。

[拮抗関係にある栄養素]
カルシウム―リン―マグネシウム
ナトリウム−カリウム
銅−亜鉛
銅−モリブデン
鉄−マンガン
カルシウム−鉄、亜鉛、マンガン
ビタミンB1−B2−B6
必須アミノ酸それぞれオメガ3(α-リノレン酸)−オメガ6(リノール酸)

◇ 栄養素の相所作用

「生命の鎖」といって、栄養素は単独よりも、相互的に働くときに強い力を発揮します。

ビタミンB群の栄養素が、クエン酸サイクルで協力してエネルギーを発生することはよく知られています。歯と骨も、カルシウム、リン、マグネシウム、タンパク質、亜鉛、ビタミンA、Cなどそれぞれの栄養素が協力して作られます。

貧血で赤血球数が少ないと、鉄剤が投与されるのですが、近年は「亜鉛欠乏性貧血」が増えており、またビタミンC、B6、B12、銅の不足も貧血に関係します。

また拮抗関係にある栄養素は、ある栄養素が体の害になるのを防ぎます。カルシウムを単独で大量に投与すると、腎臓や尿管に結石が作られるのですが、マグネシウムがとられているとそれが防がれます。

ビタミンEが細胞の酸化を防ぐと、ビタミンEラジカルに変化しますが、ビタミンCが存在すると還元されて再び機能を回復させます。またセレニウムはビタミンEの抗酸化力を数十倍に高めます。

それらの相助効果を期待する上でも、ビタミンA(ベータカロチン)、B1、B2、B12、パントテン酸、ナイアシン、葉酸、ビオチン、C、D、Eなどのビタミンと、カルシウム、マグネシウム、亜鉛、鉄、銅、マンガン、クロム、セレニウムが含まれたマルチビタミン&ミネラルを基本とし、その上で不足しやすい栄養素を単体で補うべきです。

(杏林予防医学研究所 予防医学ニュース114号より)