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毛髪分析コラム

“毛は口ほどにものを言う”

μ喩永析レポートの項目

毛髪分析レポートは大きく分けて「有害ミネラル」「必須ミネラル」「参考ミネラル」そして「ミネラル比」の4つの項目で構成されており、15種類の有害ミネラル、19種類の必須ミネラル、5種類の参考ミネラルについてそれぞれ分析結果が示されます。用紙に印字されている「68%」「95%」などの数字は、例えば受検者が100人いたとして、そのラインまでの検出量にそれぞれ68人、95人が該当するという意味で、いわば偏差値のようなものです。

有害ミネラルは、左側から緑のゾーンが普通、黄色がやや高値、右の赤は非常に高値であることを示しており、もちろん少なければ少ないほどよいということになります。必須ミネラルでは、中央から左右の緑が標準範囲内で、中央より右へ行くほどやや高値、非常に高値となり、左へ行けば順にやや低値、非常に低値であることを示します。有害ミネラルとは異なり、必須ミネラルは多すぎても少なすぎても問題があります。参考ミネラルは現時点で有害か必須かを判断しかねるミネラルです。ミネラル比は関係性のあるミネラル同士の比率を表したもので、特に必須ミネラルのバランスを見るときに重要です。

食事によるミネラル摂取量と毛髪中のミネラル濃度を比較した場合、直接的な相関関係が見られる部分も確かにありますが、例えば食事で取り込んだミネラルの量が同じでも、食事の内容や消化吸収能力、生活習慣の違いなどによって毛髪中のミネラル濃度には差が生じます。つまり毛髪中の微量ミネラルの濃度は、すべての場合で摂取量をダイレクトに反映しているわけでなく、そのミネラルに関わる代謝やミネラル同士の関係などによって大きく左右されているのです。ミネラル比の項目があること、そして全部で39種類のミネラルの検出量がグラフ化されていることは、毛髪分析において、ひとつのミネラルの値にだけ目を向けるのではなく、相対的な見方がいかに重要かということを表しています。

Г燭がアルミ、されどアルミ 〜毛髪で分かるアルミニウムの蓄積〜

金属には比較的比重の大きいものと小さいものがあり、前者は重金属、後者は軽金属と呼ばれます。一般的に毒性が懸念されるのは重金属であり、軽金属であるアルミニウムは欧米では必須ミネラル説もあるくらいで、体内に大量に取り込まれても腎臓を通り抜けて排泄されやすいのですが、その量が過剰であると体に悪影響を及ぼす恐れがあります。また、同じ軽金属のカルシウムやマグネシウムが体内で不足することでもアルミニウムが蓄積されやすくなるといわれています。

血液中のカルシウムイオンは、骨にカルシウムを蓄える働きがあるカルシトニン、そして骨からカルシウムを溶出するパラソルモンの2つのホルモンによってそのバランスが調節されています。

カルシトニンは甲状腺、パラソルモンは副甲状腺から分泌されますが、アルミニウムは副甲状腺を刺激することによってパラソルモンの分泌を促すため、骨からカルシウムが溶け出す脱灰が進み、骨がもろくなります。

その結果、血液中のカルシウム濃度が高まって細胞内にカルシウムが過剰に入り込み、神経や免疫、内分泌系での情報伝達に支障をきたすことで、筋肉のけいれんや胃腸障害、アレルギーのほか、言語障害や精神疾患などを生じる要因にもなります。

アルミニウムは地球上に自然に存在する元素のうち酸素、ケイ素についで3番目に多く、安価で加工しやすいため、身の回りのさまざまな生活用品に用いられています。鍋や炊飯器、フライパンなどの調理器具やアルミ缶などはよく知られていますが、みょうばんやベーキングパウダーなどの食品添加物、歯磨き粉、胃薬、ワクチンの免疫賦活剤といった、私たちの体内に直接入るものにも使われていることは意外に知られていないかもしれません。

こういった多々あるアルミニウムの摂取源で、回避できるものはできるだけ取り込まないようにしながら食物繊維の豊富な食事をしておけば、腸内でアルミニウムと結合し、排泄してくれます。リンゴに含まれるペクチンという水溶性の食物繊維は特に排泄効果が高いといわれています。また、体内でアルミニウムと拮抗するカルシウムとマグネシウム、特にマグネシウムを十分に摂取することが大切です。

┣燭と話題のヒ素に注目・その1〜ヒジキを食べても大丈夫?〜

最近のニュースや事件には、カレーへの混入事件、井戸水、そしてヒジキなど「ヒ素」に関連するトピックが目立ちました。世間一般にも「ヒ素=猛毒」という認識が定着しているのではないでしょうか。

毛髪分析レポートにおいて、ヒ素は有害ミネラルのひとつにあげられており、毛髪分析を受けたほとんどの人が高く検出されます。それだけ環境中にヒ素が多いということを示しているわけですが、実はヒ素にも「善玉」と「悪玉」があるのをご存知でしょうか。

ヒ素は地球の表面を構成する元素の中で多いほうから数えて20番目と、自然界にも普通に存在するものです。例えばヒジキやエビ、カキなどの海産物にはもともとヒ素が多いことで知られていますが、これらに含まれる有機ヒ素は人の体には無害、あるいは毒性が弱いといわれています。これは、自然界の有機ヒ素はヒ素と炭素との結合が非常に安定しており、人が食べても体内で何の反応もせずに速やかに排泄されるためです。これに対し、亜ヒ酸などの無機ヒ素は非常に毒性が強いもので、和歌山カレー事件や森永ヒ素ミルク事件などの原因物質がこれでした。

ちなみに、他の海藻類や魚介類に比べて、ヒジキにはなぜか特異的に無機ヒ素が多いようですが、ヒジキに多い無機ヒ素はヒ酸とよばれるもので、亜ヒ酸に比べれば毒性はそれ程強くないようです。またこれまでの日本の歴史で、海産物を大量に食べたことによるヒ素中毒の例は皆無であることを考えても、ひじきを主食代わりに毎日たくさん食べることがない限り、そう気にする必要はないでしょう。むしろ、ヒ素の他の摂取源や、体内に入り込んでしまったヒ素の解毒のほうを優先して考えるべきです。

毛髪分析によって検出されるヒ素の量はたいてい、カレー事件などで人々を苦しめた急性の毒性を示すような量とは比較にならないほど少ないものです。しかし、急性毒性だけが問題なのではなく、慢性的な毒性が体に与える影響も非常に危険なものであり、決して安心できません。次回はヒ素の慢性中毒とその対策などについてご紹介します。

何かと話題のヒ素に注目・その2〜ヒ素の慢性中毒とその解毒法〜

毛髪分析で検出される有害ミネラルは、世間を騒がす事件などで問題が起こる量に比べてごくわずかなものです。それゆえ、命に関わるような危険がすぐさま生じる心配はないわけですが、じわじわと体を蝕む慢性中毒の悪影響に注意が必要です。ヒ素の摂取による健康障害は、頭痛や神経痛、睡眠障害、情緒不安定、筋肉の萎縮、感覚異常などが代表的です。ヒ素は、人の体内でエネルギーを生産するときに必要な酵素の働きを阻害するため、細胞が働くためのエネルギー供給が分断され、さまざまな健康上の問題があらわれてくるのです。

自然界に存在する毒性の少ないものは別として(先月号を参照)、ヒ素の主な摂取源としては、除草剤や殺虫剤、井戸水、自動車の排気ガスなどがよく知られています。農薬が使われた野菜や果物を食べている、周囲に田んぼや畑がある、幹線道路や高速道路の近くに住んでいる―こうしていくつか例を挙げてみるだけでも、ほとんどの人がヒ素の影響を受けているのが分かるでしょう。

これだけで摂取源が周りに満ち溢れていると、体に入り込むのを避けるより解毒や排泄の対策を万全にしたほうが賢明です。ヒ素は必須ミネラルのセレンと体内で拮抗する作用があるため、毎日の食事や栄養補給でセレンを不足させないようにすることが解毒のポイントとなります。また、体内で重金属と結合して無毒化する働きのあるメタロチオネインというタンパク質は、システインやメチオニンといった含硫アミノ酸と亜鉛などのミネラルが材料となって体内で合成されます。またその合成にはマグネシウムやビタミンB6も必要となります。

亜鉛やセレン、鉄などの必須ミネラルもヒ素と同じ重金属であり、これらは適量の範囲が非常に狭く、過剰にとると明らかに有害です。ちなみに、ヒ素の場合はごく微量であれば体に必要なミネラルかもしれないとする説さえあり、ミネラルは人にとって有害か無害かを分類するのがとても難しい物質であるといえます。

タバコと骨の深い関係―カドミウム汚染

ヒ素や水銀ほどではありませんが、毛髪分析レポートでカドミウムが比較的高く検出されるケースは時折みられます。カドミウムは食品や水を通して体内に侵入する分よりも、汚染された空気を吸い込んで肺から取り込まれるほうが影響を受けやすいといわれています。喫煙習慣のある人や受動喫煙の頻度が高い人はカドミウムにさらされている恐れがあるほか、工場のばい煙や自動車の排気ガスなどもカドミウムの摂取源としてよく知られるものです。

カドミウムは肺や肝臓、腎臓などに蓄積しやすく、呼吸器官や肝臓の機能障害につながることに加え、特に腎機能にダメージを与えることが問題です。腎臓にはカルシウムの吸収に必要な活性型ビタミンDをつくるという働きがあり、カドミウムの蓄積によりビタミンDの活性が阻害されるほか、カドミウムとカルシウムは互いに拮抗することからもカルシウム代謝に多大な影響を与えます。その結果、骨の健康を著しく低下させたり、血圧の異常などにつながったりすると考えられています。

自然界では、カドミウムは亜鉛とも拮抗しながら均衡を保つ関係にあります。これは元素としての両者の性質がよく似ているからですが、体内で亜鉛が不足すると、亜鉛が関与する重要な多くの酵素にカドミウムが結合し、その酵素の働きを邪魔してしまいます。例えば、砂糖や精白小麦粉といった精製加工食品は製造過程で亜鉛が除去されるため、こういったものをたくさん食べる生活を続けていると、カドミウムが体内に蓄積するリスクを高めます。

体内に入り込んだカドミウムを解毒・排泄する上で役立つ栄養素は、前回のヒ素と同じように含硫アミノ酸、セレン、亜鉛が主たるものです。カルシウム代謝をサポートするためには、マグネシウムとカルシウムの補給も十分にしておくべきでしょう。 

注意すべきは空気と水―鉛汚染(1)

「体が鉛のように重い」などと表現されるように、鉛は重金属であると同時に代表的な有害ミネラルのひとつです。そして毛髪分析でも、鉛の値が高く検出されるデータはヒ素や水銀のそれと同じくらい頻繁にみられます。やはりそれだけ生活環境中に多く存在するということです。最近では、ライフル射撃の鉛弾が自然の生態系を脅かしていることが話題になりましたが、鉛が私たちの体内に入り込むルートは非常に多岐にわたります。

例えば鉛の水道管がそのひとつです。比較的新しい水道管は他の金属や樹脂でできていますが、古い水道管には鉛が用いられていること、そして工業排水による汚染のことなどを考えると、住宅の新旧に関係なく影響を受けている可能性があります。整水器などで鉛除去機能を謳った製品が多いことからもこのことがよく分かります。

また、1980年代半ばまでは有鉛ガソリンが用いられていたことから、工場の煙や自動車の排気ガスに含まれていた鉛が市街地の公園などに降り積もり、現在でもその汚染が深刻な状態になっているという新聞記事もちょうど1年ほど前にみかけました。鉛が腸から血液中に取り込まれる割合は、大人が摂取量の1割程度であるのに対し、2歳の子供では5割にも達するといわれているため、公園で砂遊びをする子供たちへの影響が懸念されます。

絵の具や顔料、塗料、インク、釉薬といった色づけするものにも鉛が多く含まれます。前回のカドミウム同様、タバコの煙に多いことでも知られています。これはタバコの葉の栽培時に使われる農薬が原因です。髪の毛の脱色剤やヘアカラーにも用いられることが多いため、染めた部分を毛髪分析の検体にすると鉛が異常に高く検出されることもあります。この場合は体内に入り込んだ鉛だけではなく、髪の毛に付着した外的な汚染も疑われます。毛髪分析のデータ上でこの両者の選別はできないため、注意が必要です。

鉛は加工しやすい金属であるため、はんだや缶詰、電池、電化製品の部品などさまざまな生活用品に使われています。特に情報化社会に伴うパソコンや携帯電話の普及率を考えると、これらが廃品となったときに適切に処理されなければ、工場の煙や排水を通じた鉛汚染が将来的に拡大するリスクは否定できません。

目には目を、鉛には「亜」鉛を―鉛汚染(2)

ごく短い時間の接触であれば、鉛のような有害ミネラルが体内に入り込んでもわずかな量が吸収されるだけですが、繰り返しさらされることになると、その濃度が低いものであっても脳などの柔らかい組織、さらには骨にも蓄積します。

血液中に取り込まれた鉛は、カルシウムや亜鉛、鉄などの有用なミネラルの働きを阻害します。例えば神経系の症状は、情報伝達のメッセンジャー役を担うカルシウムの働きが鉛によって損なわれることによって起こります。

体内に取り込まれた鉛は骨に蓄積しやすいため、本来であれば骨に存在すべきカルシウムなどのミネラルが追い出されてしまい、結果として骨折や骨粗鬆症、腰痛、関節炎などの原因となります。また鉛は亜鉛の酵素反応を妨害するため、亜鉛の重要な働きのひとつであるタンパク質の代謝に支障をきたすようになります。こういったミネラルのアンバランスは毛髪分析のグラフにも傾向が現れるため鉛の影響に関してある程度の予測を立てることができます。

アメリカでは、水銀と同様、子供の学習障害や多動、自閉症などと鉛の関連が、かなり以前から指摘されています。これは、鉛による直接的な神経毒性はもちろん、鉛に追い出された骨のカルシウムが脳の細胞内に過剰に入り込み、細胞が過度の興奮状態になった結果とも考えられます。

また、鉛は酸素の運搬役であるヘム鉄の製造を妨げることでも知られており、酸素を特に必要とする脳にダメージを与えます。最近では、骨に蓄積した鉛の量が多い人は、白内障を引き起こすリスクが2.5倍以上になるというニュースもありました。こちらは骨から溶出したカルシウムの沈着に加え、鉛のせいで亜鉛の働きが阻害され、目の水晶体がうまくつくれないために濁りが生じてしまうのではないかと思われます。

重金属である鉛は、やはりシスティンやメチオニンといった含硫アミノ酸、そしてセレンや亜鉛などのミネラルによって体外への排出を促すことができます。特に、見た目が似ているというだけで「鉛の亜種」という不名誉な名前がつけられた亜鉛を適切に摂取しておくことは、鉛の害を軽減する上で非常に有効です。

日本在住の宿命!?―水銀汚染(1)

近年、水銀汚染の問題は非常によく知られるようになりました。水銀の害といえば1956年に公式に認定された水俣病の悲劇を思い出す人も多いでしょう。その強烈なイメージからか、水銀の値が高く示された毛髪分析レポートの結果に驚いた様子で質問してこられる方も少なくありません。当時、水俣病患者の毛髪中に検出された水銀の量は50ppmを超える数字であったようですが、これまでのデータから判断すると、一般的には成人の平均でだいたい34ppm前後でしょうか。水俣病の心配はないとはいえ、毛髪分析の検査機関であるドクターズデータ社が定める成人の基準値が1ppm程度ですから、むしろ水銀が少ない「正常な人」の方が珍しいくらい、水銀汚染は一般的なものです。

これは世界的にみても日本特有の傾向であるようで、私たちの生活習慣と密接に関連しています。ひとつは、魚介類をよく食べるという食生活によるものです。水銀は、もともと自然界に存在するものや産業活動によって排出されるものが、河川や海などを通じて海に集まります。海水に溶け込んだ水銀はプランクトンの体内に取り込まれ、プランクトン→小さい魚→大きい魚というように、食物連鎖による生物濃縮の結果、その上位にいる大型マグロなどの魚の体内に高濃度に蓄積します。そして最終的に、それを私たち人間が食べることで、少量の切り身などであっても高濃度の水銀を取り込んでしまうのです。

ちなみに、子供の毛髪分析で水銀が高い場合、マグロの刺身やツナ缶を口にする頻度について質問すると、多くのケースで「よく食べる」という答えが返ってきます。また大人の場合も、魚好きの人、特にマグロのトロが大好物という猗食家爐法⊃絛笋慮―侘未10〜15ppmにもおよぶケースが目立ちます。これでは体への相当なダメージが懸念されます。

そしてもうひとつは、皆さんの口の中にも見つかるであろう「銀歯」です。正式にはアマルガムと呼ばれる合金で、用途はさまざまですが、歯科用充填物としても非常に一般的です。

歯科用アマルガムには水銀が5割、残りの半分は銀やスズといった複数の金属が材料として使われています。安価で加工しやすいというメリットから、かつてほとんどの歯科で用いられてきました。現在ではその有害性に対する認識が浸透してきており、他の合金などを利用する歯科が増えている一方で、依然としてアマルガムが使われている事実も否めません。

「オーガニック」の水銀は非常に危険―水銀汚染(2)

自然界の水銀は、硫黄と結合する形で無機水銀として科学的に安定していますが、他の化学物質などと結合した有機水銀は向きの水銀よりもはるかに毒性が高く、水銀汚染の主犯格的な存在です。大型魚に含まれる水銀は、無機水銀がえらや腸などに生息する細菌の働きによって有機水銀に変化し、組織に蓄積すると考えられています。歯の詰め物由来の水銀も同様に、口の中の常在菌がアマルガム合金から溶出した水銀を有機化している可能性が示唆されています。

腸内での水銀の吸収率を見た場合、無機水銀では総摂取量の10%程度であるのに対し、有機水銀の場合はなんとほぼ100%に達するといわれています。有機水銀は脂溶性で、呼吸器系や消化器系、皮膚などからだのあらゆる部位から吸収され、体内のすべての細胞を脅かします。さらには血液―脳関門と呼ばれる脳のバリアーもくぐりぬけ、脳や中枢神経系にも大きなダメージを与えることで知られています。このことからアルツハイマー病や自閉症などとの関連も疑われているのです。

予防接種のワクチンに防腐剤として用いられるチメロサールという有機水銀化合物の害についても、近年になってようやく注目されるようになりました。チメロサールはインフルエンザや日本脳炎、三種混合をはじめとするさまざまなワクチンに利用されており、乳幼児が受ける予防接種の種類が増えた1990年代のアメリカで自閉症の症状を示す子供が目立つようになったことから、その有害性が指摘され始めました。これは予防接種の是非以前の問題として、国レベルで早急に取り組むべき事項でしょう。

水銀は科学的な性質や元素の大きさが必須ミネラルの亜鉛によく似ていることから、体内で亜鉛を必要とする酵素の構成タンパク質と容易に結合してしまいます。これにより、亜鉛含有酵素の活性が妨害されます。亜鉛含有酵素にはタンパク質の代謝にかかわる重要なものが多いため、その活性が邪魔されることによって細胞の修復能力や組織の機能が低下し、その結果として、疲れやすい、風邪を引きやすい、傷の治りが遅いといったようなさまざまな症状が現れます。水俣病のときのように生命を脅かすほど重篤な症状に苦しむわけではありませんが、いわゆる不定愁訴と呼ばれるようなはっきりしない体の不調には、水銀が関与している可能性が高いといえます。

臭いものにはフタをしない! 〜水銀汚染の対処法〜

自然界に存在する水銀は硫黄と結合することで科学的に安定しています。これは体内でも同じことで、普段の食事で硫黄を多く含むものを意識してとるようにしておけば、入り込んできた水銀を無害化し、体の外に追い出すことができます。

硫黄が豊富なものの代表例は、肉や卵、乳製品などの動物性タンパク質です。ただ、水銀の解毒を目的としてこれらをたくさんとるのはあまりに弊害が多すぎます。その点、魚介類、特にイワシなどの小魚であれば、大型の魚のような生物濃縮による水銀摂取のリスクがほとんどありませんし、セレンや亜鉛など、硫黄と一緒に有害ミネラルの解毒・排泄に関わる重要な他のミネラルもとることができます。

一方、植物性の食品からもさまざまな硫黄化合物が得られます。ニンニクやニラ、ねぎ、セロリ、アスパラガス、ブロッコリー、ゴマ、玄米といったような、独特のクセのある香りを持つ食材がこれにあたり、やはりこれらのも亜鉛やセレンが含まれています。独特の香りといえば、東南アジア料理のブームですっかりおなじみになったパクチーを思い浮かべる人も多いでしょう。香菜(ツァンツァイ)、コリアンダー、中国パセリなど多くの呼び名があり、硫黄化合物由来の強烈な風味は好き嫌いがはっきり分かれるところですが、最近では有害ミネラルに対する強力な解毒・排泄作用を持つことでも注目されています。

ファスティングも水銀の解毒に有益です。余分な志望を燃焼させることで脂肪に蓄積した水銀を血液中に遊離させ、解毒・排泄しやすくするほか、体脂肪を減らすことで、水銀が蓄積されにくくする効果が期待できます。また、内臓をいったん休めることによって、肝臓や腎臓、腸などが持つ解毒・排泄の機能を本来の水準に高める働きもあります。水銀が腸で長い時間とどまらないように、乳酸菌や食物繊維を摂取して腸内環境を整えるのもひとつの手でしょう。

もちろん、こういった数々の方法は水銀以外のほかの有害ミネラルにも応用できます。ファスティングや乳酸菌、食物繊維などは有害化学物質に対しても非常に効果的です。有害物質の解毒というと、どうしても有害物質そのものと真っ向勝負しようとする傾向があります。しかし、体の健康状態を高め、必要な栄養素を適切に摂取するように心がけていれば、自然と有害物質の影響を受けにくい体になるのです。

袷韻醗の2つの顔を持つニッケル

ドクターズデータ社の毛髪分析レポートでは、重金属であるニッケルは「有害ミネラル」に区分されています。一般に消化器官からは吸収されにくく、経口毒性は低いといわれていますが、皮膚や肺からは容易に吸収されます。体内にニッケルが蓄積すると細胞内のDNAに悪影響を及ぼすようになり、呼吸障害、歯周病など口腔の疾患、めまい、下痢、不眠、さらにはガンなどのリスクも高まります。事実、ニッケルを取り扱う工場では鼻腔や肺など呼吸器系のガンを発症する人が多いという報告さえあります。

(杏林予防医学ニュースより)