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こんな症状があったら要注意 「むくみ」

key words

・他の合併症との関連
・心臓や肝臓、腎臓の異常

・タンパク質欠乏
・B6とマグネシウム

●むくみは水の代謝の異常

よくある浮腫の原因に、腎機能障害によるナトリウムの排泄障害(再吸収の促進)があります。

食塩の取り過ぎ、カリウム不足、マグネシウム不足など電解質ミネラルのアンバランスな食事を続けると、細胞と細胞のすき間にナトリウムが蓄積しはじめるようになります。漬物などを作るときに野菜に塩を振ると、塩が水分を吸い取って野菜がしなれてきますが、それと同じ理由で過剰のナトリウムは体の水分を引きつけて、その結果水分を排泄できなくなって水が貯留した状態になるわけです。

腎臓には、老廃物を排泄する、水分とミネラルのバランスを保つ、血圧を調節するなどの働きがあります。カルシウムなどミネラルを余分にとりすぎても、腎臓によって調節されて、いらない分が尿から排泄されるのです。その腎臓の働きが衰えることでナトリウムと水分が溜って浮腫ができ、高血圧にも関連してきます。このケースでは必ず顔面、特にまぶたに浮腫が現れます。

医学辞典では浮腫は「水分,ミネラルの代謝障害の結果、細胞および組織間隙に組織液、あるいはリンパ液が移動点滴し得る形で貯留した状態」と定義されています。

成人で体の約60%が水分です。浮腫(むくみ)は簡単に言えば「体の洪水」で、全身、あるいは体の一部において皮膚や皮下組織に過剰の水が蓄えられた状態です。浮腫になった部分は青白く、やや光沢があり、膨れ上がって弾力性が失われています。皮膚の上から指先でじっと押して凹みができれば、それが浮腫です。

●浮腫のメカニズム

浮腫が生じる原因を一言で言えば、血液の流れにトラブルが起こっていることです。

体では栄養物質は水に溶かされて、動脈から枝分かれした毛細血管を通して全身に運ばれ、必要がなくなった老廃物質は静脈から捨てられます。この物質の移動は、血液が物質を引っ張る力と毛細血管との間の浸透圧の差で行われています。

浸透圧を説明すると、次のようになります。二つの溶液が膜で隔てられ、その両側の溶液の濃度が違っていると、両側の濃度を合わせるため濃度の薄いほうから濃い方へ水分が移動します。このときの水を移動させる圧力のことを浸透圧といいます。お風呂に入っていると皮膚がふやけるのは、浸透圧によって水が細胞に移動したためです。

細胞の中も外も水分で、細胞内液と細胞外液の間にある毛細血管や細胞膜には浸透圧の性質があり、物質の移動を容易にしています。栄養を各細胞に補給するときには、栄養物質が毛細血管の動脈から組織に向かう浸透圧が強くなり、反対に組織で用済みの老廃物が処理されるときは組織から静脈に向かう浸透圧が強くなります。しかし、何らかの理由でその力が逆になると、細胞壁という堤防が決壊して内容物が組織に漏れ出て、浮腫が生じるのです。

浮腫の成因を整理すると、次のようになります。

・血液から毛細血管を通じて水分、ミネラル、血漿タンパクが異常に組織内に進入し、しかも組織から血管への再吸収が傷害されるために組織中に液体が貯留する状態が浮腫である。

・浮腫を起こす生理的変化に次のことがある。

1)静脈圧、また毛細血管圧の増加

2)血漿コロイド浸透圧の低下による血液の水分保有力の減弱

3)毛細血管壁透過性の変化により、血液から組織へ水分の移動が促進されること

4)細胞組織の水分吸引力と保有量増進・心臓疾患は1)、急性肝炎で3)、ネフローゼまた慢性肝炎では2)と4)が関係する。

●ストレスで生じるむくみ

腎臓病による浮腫では、食事療法としてナトリウムを制限して、カリウムの多い青野菜をとることがありますが、腎臓病は単純な食塩の摂り過ぎだけではなく、ストレスで引き起こされることがあります。

ストレス状態では副腎でアルデステロンというホルモンが作られ、水とナトリウムを人体に蓄えようとします。慢性的なストレスによりアルドステロンが分泌され、水とナトリウムがたまり、浮腫や高血圧が生じてくるのです。 

ストレスはナトリウムとカリウムの代謝を異常にしますので、ストレスの多い人の毛髪分析をするとその両方のミネラルの値が高く出てきます。ストレスが原因の浮腫の場合、味噌汁や調理塩を一切とらないなど極端な減塩はかえって良くなく、マグネシウムやビタミンC、パントテン酸など抗ストレス栄養素をとることが重要です。

●多くの病気を示唆するむくみ

浮腫はそれ自体が病気ではなく、何かの病気の症状を示しています。ほとんどの場合は臓器に異常があり、栄養素や水分を代謝できなくなっているために浮腫が生じます。その位置や病状によって何かの病気を示しているのかが推測できるわけです。

肝臓病では、肝臓で作られるアルブミンというタンパク質が減少します。アルブミンには浸透圧を維持する働きがあり、アルブミンの低下で浸透圧が減少するため血管内の水分や塩分が血管外に出やすくなり、浮腫の状態が生じます。

タンパク質不足に関連する栄養失調症でも、アルブミンが低下し、やはり浮腫が生じます。タンパク質の代謝に必要なビタミンB6の不足でも同様の症状が起こります。

また心臓の弁膜に障害があると、右、または左の心室はそれぞれの心房にかえってきた血液を拍出する事ができずにうっ血し、静脈圧が上昇して浮腫が生じます。

心機能が低下して血液循環が悪くなると腎臓の血液量が少なくなり、尿が排泄できなくなって、全身、特に下半身の浮腫が目立ち始めます。心臓性浮腫ではマグネシウムやビタミンE、オメガ3など心臓の健康を譲る栄養素の摂取が必要です。

浮腫はその他、長い時間たっている場合、ねんざなど体の障害、妊娠中毒症、月経前緊張症候群、昆虫にかまれたり、刺されたりすることによるアレルギー反応、経口避妊薬の使用で起こります。

浮腫の栄養法は、その病気の性質によって異なります。心臓病、肝臓病、腎臓病と、それぞれの病気の栄養プログロムに合わせた対処法が必要になってきます。

浮腫がある場合の生活上の注意としては、次のことがあります。

・毎日運動し、熱い風呂に入り、汗をかく。

・座業の時に足の組み方をときおり代えて、循環器系の流れが滞らないようにする。

・カリウムの多い生の果物や野菜を食べる。

・月経時の浮腫があるとき、利尿作用の使用を控える。