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サプリメントの上手な摂り方

生命の鎖編(1) 『栄養素の基本知識』

◇栄養と食

サプリメントをとる目的は、栄養素を補うことにあります。辞書によると栄養の定義として「生物が外界から必要な物質を取り入れ、それを利用して組織修復、成長、活動などの生活現象を営むことを栄養という。」とあります。砕いて言えば、生物の体の中では組織の材料になるタンパク質やエネルギーを作ることができないので、何かを食べてそれを満たさなければいけないということになります。

生物は、食物を取り入れるために口を持ち、不用物を排泄するための肛門を持ちます。自然界の生物は、自分の身近にある動物や植物、微生物、有機物などで消化・吸収・代謝が可能なものを食べて栄養とします。生物は栄養素を取り入れるためにものを食べ、必要以上に食べ過ぎません。また飢餓状態に陥っても、(代謝できない)栄養にならないものを食べることは稀です。

栄養の狭い意味は「食べることにより代謝に必要な物質を取り入れること」ですが、人間の食事には、美味しいもの、満足を満たすものを求めるなど、栄養以外の要素が伴います。食べる必要がないのに必要以上に食べ過ぎることもあります。またたとえ栄養になるとしても、人を食べることはタブーとされます。

栄養は本来、食事でとるものですが、何かの事情でとれなかったときにサプリメントでとることになります。栄養素はすべて必要ですが、社会、あるいは環境的な理由から摂り過ぎているものと、不足しやすいものがあります。

質問1. 代謝って何ですか?

回答.「生体内での物質変化のプロセス」と定義できます。摂取された食べ物は分解され、酸化や還元などの化学反応が加わり、細胞内での活動に利用されていきます。代謝には異化作用と同化作用があります。異化作用はエネルギーを作り出す作用、同化作用はタンパク質を合成する作用です。

◇栄養素の分類

栄養素にはさまざまな種類があり、成分や構造によって働きが異なります。栄養素の働く舞台は基本的に、細胞の内部か、細胞を取り巻く環境です。食物は分子に分解され、それぞれの異なる成分が工場のように仕分けされ、利用可能な形になって、細胞一つ一つに配給されていきます。

植物は空気や土壌から、水と炭酸ガス(二酸化炭素)、窒素、無機質(ミネラル)を取り入れて栄養とします。元素と分子量の小さな分子から有機物を作り、成長する植物を“生産者”ということができます。

動物は、植物や微生物、動物などの組織に含まれる有機物を栄養とする“消費者”です。一口に動物といっても、大きく分けて脊椎動物と無脊椎動物、脊椎動物でもほ乳類、爬虫類、両生類、鳥類、魚類と分かれるのですが、必要な栄養素のパターンは、タンパク質、脂肪、炭水化物、ビタミン、ミネラルにほぼ決まっていて、体を構成する成分も水分60〜70%、タンパク質10〜20%、脂肪5〜10%、無機質はカルシウムとリンをおもに数%と大きな差は見られません。

しかし、ビタミンに関しては、人間などの霊長類やモルモットなど数種の生物がビタミンCを作れないのに、他のほ乳類は体内でビタミンCを合成できるなど、細かい点での違いがみられます。

必須栄養素と非必須栄養素

体内で合成出来ないので摂取しなければいけない栄養素を必須栄養素、体内で他の栄養素を材料にして合成できる栄養素を非必須栄養素といいます。

例えばアミノ酸で、トリプトファンやリジンなどは必須アミノ酸、セリンやチロシンは必須アミノ酸から合成できる非必須アミノ酸です。

ビタミンとミネラルのほとんどは、必須栄養素です。必須栄養素を欠乏したとき、その栄養素が受け持つ生理作用が機能しなくなり、何らかの欠乏症が起こります。ビタミンB1欠乏による脚気、ビタミンAでの夜盲症、ビタミンCでの壊血病、鉄欠乏性貧血などがよく知られています。しかし、ビタミン、ミネラルは一つが多くの働きを兼ねるので、欠乏症は、さまざまな症状が起こる症候群の形をとります。例えばビタミンC欠乏では、歯茎の腫れや皮下出血などの壊血病の症状と同時に、貧血や腰痛、かぜをひきやすいといった症状が起こります。

必須栄養素の数は、約50前後と考えられます。非必須栄養素でも、外的、あるいは内的な条件により、体内での合成が遅れ、サプリメントで取り入れなければいけない場合があります。

質問2. ビタミンB群やKは体内で合成できると聞きましたが?

回答.正確には、人間の組織や細胞ではなく、別の生き物である腸内細菌が有機物を材料にしてビタミンB群やKを作っています。合成される量は微量ですが、ヒトの小腸や大腸の粘膜で効果的に吸収されるという利点があります。

カロリー栄養素と微量栄養素 

タンパク質、炭水化物、脂肪などエネルギーを持つ栄養素をカロリー栄養素、あるいは熱量素といいます。現代栄養学は、運動や成長に合わせて一日に必要なカロリーをとることを基礎に置いています。これらは有機物で、炭素を軸にして酸素、水素が結合する基本的な構造をとっています。タンパク質には窒素が含まれます。

ビタミンとミネラルはカロリーを持ちませんが、酵素による代謝活動を助け、細胞の活動に必要な環境条件を整え、また生体内の組織の材料になります。いわゆる調整役として働き、保全素ともいわれます。

@タンパク質とアミノ酸

タンパク質とは、アミノ酸が結合してできたもので、生物の体組織を構成する主成分です。必須栄養素としてタンパク質はやや大ざっぱな表現で、正確には8種類の必須アミノ酸というべきでしょう。必須アミノ酸には、イソロイシン、バリン、ロイシン、メチオニン、スレオニン、リジン、フェニルアラニン、トリプトファンがあります。

非必須アミノ酸、または可欠アミノ酸といわれるグループには、アラニン、アルギニン、アスパラギン酸、シスチン、システィン、ヒスチジン、グルタミン、グルタミン酸、グリシン、セリン、チロシン、プロリン、オキシプロリン、タウリンなどがあります。これらのアミノ酸は、必須アミノ酸の存在があれば、合成することができます。

ただ幼児はヒスチジンとアルギニンを合成することができないので、必須アミノ酸のグループに加わります。これらのアミノ酸の主な働きは、組織の構成材料となることです。しかし、単体アミノ酸がホルモンや神経伝達物質に作り替えられる(フェニルアラニンとチロシンが、甲状腺ホルモンやアドレナリンに、トリプトファンがセロトニンに合成されるなど)など、アミノ酸それぞれの特異的な働きを生かすために、アミノ酸単体のサプリメントでの摂取が意味を持つ場合があります。

タウリンは体組織の材料にはなりませんが、体脂肪の分解、神経と筋肉の正常化に働き、サプリメントとして高い効果を持ちます。

A脂肪

脂肪の基本的な働きは、エネルギー源になることです。脂肪を大きく分けると、飽和脂肪酸、単価不飽和脂肪酸、オメガ6多価不飽和脂肪酸、オメガ3多価不飽和脂肪酸の4種類があります。その内、飽和脂肪酸と単価不飽和脂肪酸は人体で作ることができます。

オメガ6不飽和脂肪酸のリノール酸と、オメガ3不飽和脂肪酸のα−リノレン酸は人体で作ることができず、また欠乏症が現れてくるので、必須脂肪酸といいます。この二つの必須脂肪酸には拮抗関係があり、そのバランスの乱れを矯正するために、魚油や植物油のサプリメントが必要になることがあります。

4つの基本的な脂肪酸以外に脂肪様物質として、コレステロールやリン脂質などがあります。レシチンはリン脂質とコリンが結合したもので、脂肪の乳化や脳の機能に働き、サプリメントとしてとられる価値を持ちます。

B炭水化物(糖質)

炭水化物は、体のすべての筋肉や神経が働くための基本的なエネルギー源になります。炭水化物には、a)多糖類(でんぷん)、b)二糖類(砂糖)、c)単糖類(ブドウ糖、果糖など)などの種類があります。

穀物や砂糖、果物を食べることで容易に炭水化物を摂取できます。エネルギー源として炭水化物をサプリメントでとる必要性はほとんどないといってもよいのですが、ビフィズス菌を増やして腸内環境をよくするという理由で、オリゴ糖を含む食品で「特定保健用食品」に認められているものがあります。

Cビタミン

英語のVitamin(発音はヴァイタミン)は、「活力の物質」という意味を持ちます。ビタミンは、体内で行われるさまざまな生理作用に働きます。ビタミンが不足することで、特有の欠乏症が現れ始めます。疲労感、イライラ、肌荒れなどは潜在性ビタミン欠乏症といえます。

脂溶性ビタミン

ビタミンA、D、E、Kなどがあり、動植物の組織中の脂肪に溶けた状態で含まれています。ビタミンAとDは肝油から、Eは植物油(小麦胚芽油やコーン油)から抽出されたものがサプリメントの材料に用いられます。ビタミンKは血液凝固の反応に欠かせませんが、近年は骨粗鬆症の予防に効果があるので脚光を浴びています。しかし、Kが含まれたサプリメントは今のところありません。緑黄色野菜や納豆、ヨーグルトからKを摂取することができます。

脂溶性ビタミンについては、しばしば過剰症が問題とされます。ビタミンAとD、Kは肝臓に蓄積されるので、摂り過ぎにより毒性が現れる可能性があります。ビタミンEは細胞膜の脂質に溶けて働くのですが、特別な例を除いて、過剰症が生じることはありません。また必須栄養素ではありませんが、補酵素Q(ビタミンQ、ユビキノン)も脂溶性のビタミン様物質で、強い抗酸化力を持ちます。

質問3.ベータカロチンはビタミンAじゃないんですか?

答.ベータカロチンはビタミンAの分子が二つ結合したもので、体内でビタミンAに変わるので「プロビタミンA」といわれています。またビタミンAにはない、活性酸素消去の働きがあります。(異論はあるでしょうが)基本的にベータカロチンに毒性はありません。

 水溶性ビタミン

ビタミンBグループとして、ビタミンB1、B2、B6、B12、ナイアシン(B3)、パントテン酸(B5)、葉酸、ビオチン、PABA(パラアミノ安息香酸)などがあり、サプリメントとしてはBコンプレックス(複合体)の形でとられることがほとんどです。

また必須栄養素ではありませんが、コリン、イノシトール、パンガミン酸(B15)、レートリル(B17)などもビタミンBグループのそれぞれ薬理効果が報告されているビタミン様物質です。

ビタミンCには、コラーゲン合成や抗酸化作用など多彩な働きがあります。柑橘類には、バイオフラボノイド(ビタミンP)とともに含まれることが多く、その働きを助けられるので、併せてビタミンCコンプレックスという言い方がされることがあります。

Dミネラル

広い意味でのミネラルは、酸素、水素、炭素、窒素を除く体に有用な元素の事を指します。そして、組織の材料、体液中の浸透圧の調整、酵素の活性などの生理作用に幅広く関与する生命の鍵を握る存在です。

ミネラルには、人体に比較的多量に含まれるマクロ・ミネラルと、極少量しか含まれないトレース・ミネラルがあります。

すぐに使われないミネラルは体内にストックすることができますが、摂り過ぎると過剰症が現れ始めます。ニッケルや砒素も必須ミネラルですが、少しの過剰でも極めて高い毒性を発揮します。カルシウムなどの毒性の低いミネラルでも摂り過ぎると他のミネラルとのバランスを損なわせます。

またミネラルの吸収率は低く、どういう化合物の形態をとっているかに左右されます。ミネラルの摂り方が分子栄養学の鍵を握るといっても過言ではないでしょう。

E食物繊維

第6の栄養素として、食物繊維が脚光を浴びています。いわば体内の掃除役といった存在で、結果として血圧を下げたり、大腸ガンや心臓病を予防する効果が期待できます。小麦やオーツ麦のふすまは、天然の食物繊維のサプリメントです。

F水

ほとんどの生物は、組織の半分以上が水分で占められます。水なしでは細胞は安定することができず、どの化学反応もスタートしません。日本ではどこでも無料で水が飲めますが、第三世界では安全な飲料水すら手に入れることが困難な人々がいます。それらの人のことを考えると申し訳ない話ですが、浄化されたきれいな水を飲むことが勧められます。

G乳酸菌

腸内細菌は生き物ですが、これが供給されなければ健康に大きく影響します。そういう意味では栄養素といってもよく、乳酸菌を生きた状態で腸まで運べるように作られたサプリメントは重要な意味を持ちます。

Hその他の生理活性物質

●人体に存在する成分

コラーゲン、グルタチオン、コンドロイチン硫酸、グルコサミン、核酸、メラトニン、DHEAなど、タンパク質を材料に体内でつくられるのだけれども、サプリメントでの摂取が健康によい影響を与える可能性があります。

●植物に存在する成分

ポリフェノール、ギンコライド(イチョウの葉)、サポニン(大豆)、カロチン(植物色素)、カテキン(緑茶)、セサミノール(ゴマ)、ギムネマ酸、アントシアニン(ブルーベリー)、イソフラボン(大豆)、多糖類(キノコ)、クロロフィル(葉緑素)、ニンニクオイル、エラグ酸など、必須栄養素ではなく、それをとらないから欠乏症が出るわけではありませんが、抗酸化作用などよい効果があるためサプリメントや健康食品に使われている成分です。動物由来の成分では、キトサン(カニの甲羅)があります。それらのほとんどは無害です。

Iハーブ

ハーブには多種類あり、古来から民間療法でさまざまなハーブが用いられてきて、安全性の高いものが今残っています。近年のアメリカでの栄養療法はハーブ療法が主体で、特にうつを改善するセント・ジョンズ・ウォートや免疫力を上げるエキネシアの人気が高いようです。

このように体の役に立ち、サプリメント化されている物質には非常に多くの種類があります。

(杏林予防医学研究所 予防医学ニュースより)