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サプリメントの上手な摂り方

生命の鎖編(2) 『高タンパク質食の害』

◇タンパク質の基礎知識

タンパク質(プロテイン)は、ギリシャ語の「第一の」という言葉を語源とする重要な栄養素です。

私たちの体は(個人差はありますが)60〜70%が水分、10〜20%が脂肪で、その残りがタンパク質です。生命の基本単位である細胞と、肝臓や脳などの臓器、皮膚や血管、血液、骨、筋肉組織を形成する主成分として、タンパク質を欠かすことができません。またタンパク質は、体内で重要な化学反応を進めるホルモンや酵素、神経伝達物質の材料になります。

微生物から植物、動物に至るまですべての生物はタンパク質を基本に体を形成しています。私たちが食べる食品は基本的に生物かまたは生物を加工したものですから、他の生物からタンパク質を補充して生きていることになります。(これを食物連鎖といいます)

タンパク質は、アミノ酸という珠が鎖のように連なったネックレスのような構造をしています。その結合をペプチド結合といい、アミノ酸がペプチド結合したものをタンパク質ということができます。(例:インスリン→ペプチド・ホルモン)

食品を食べると、タンパク質をつなぐペプチド結合が消化酵素に切り離されて、アミノ酸に分解されます。そしてアミノ酸は体中の各細胞に運ばれて、DNAの遺伝情報を基にして組み合わされ、生体タンパク質してとして使われます。

例えば、皮膚はずっと変わらないように見えますが、三週間くらいで新しいタンパク質に入れ替わります。「その人は、その人が食べたものである」という言葉が示すように、もともとは魚か肉、米などであったものが利用されて、皮膚に作り替えられているのです。

タンパク質が不足すると組織の「再生」が進まず、皮膚からみずみずしさが失われ、また体内の組織が次第に弱くなり、胃潰瘍や皮膚炎、あるいはガンなどの病気になるきっかけを作ります。また心身の活力も失われ、白血球が作られなくなるため免疫力が弱くなり、風邪をひきやすくもなります。

◇アミノ酸スコアのバランス

アミノ酸には22種類あり、それぞれが異なる性質を持ちます。そのうち体内で合成できない「必須アミノ酸」が9種類あり、必須アミノ酸の比率を「アミノ酸スコア」といって、タンパク質が有効に利用されるための目安になります。アミノ酸のバランスに偏りがあると、タンパク質が不足したときと同じ症状が現れ始めます。

豚肉100gにはタンパク質が17グラム含まれています。1985年に世界保健機構(WHO)と国連食糧農業機関が設定した基準によると豚肉のアミノ酸スコアは100ですから、100gの豚肉から17グラムの有効利用できるタンパク質がとれます。肉類や牛乳、卵、魚介類のアミノ酸スコアが概ね高く、「完全タンパク質食品」といわれています。

大豆にはタンパク質が豊富に含まれますが、メチオニンというアミノ酸が少なく、アミノ酸スコア86です。この場合、メチオニンを第一制限アミノ酸といい、大豆だけを食べるとメチオニンが足りないための欠陥が現れることになります。アミノ酸スコアはよく、桶を作る木の板に例えられます。気の板の丈が短いと、そこまでしか水を入れることができないからです。

世界的に見て、広い地域で米、小麦、とうもろこしなど穀物が主食にされているのですが、植物性食品のアミノ酸スコアは概ね低く「不完全タンパク質」といわれます。偏食により、タンパク質欠乏に陥る危険があるのです。

◇タンパク質はアレルギーの原因物質

「完全」または「不完全」という分類から、アミノ酸スコアの高い肉や卵、乳製品が優れた食品であり、アミノ酸スコアの低い米や豆が劣った食品というイメージを受けます。以前、わが国では「タンパク質が足りないよ」というコピーで動物性食品が奨励されたのですが、現実には肉を食べる人々がガンや心臓病、糖尿病になる率が高く、穀物や豆を食べる人々が病気になることが少なくて長命です。

肉に含まれる脂肪が病気の大きな原因ですが、タンパク質の摂り過ぎもまた非常に危険な意味を持っています。

タンパク質過剰の弊害の一つがアレルギーです。アレルギーは免疫が異常な反応を起こしていることを示しています。免疫の対象となる異物を抗原といい、抗原はおもにタンパク質です。本来はウイルスや微生物の感染を防ぐための免疫システムですが、食物成分など比較的無害な成分にまで免疫が反応することで、食物アレルギーが発症します。

食物アレルギーの原因物質として、卵、牛乳、大豆などタンパク質が豊富に含まれる食品が上位にランクされています。それらの食品に含まれるタンパク質がアミノ酸に分解されないまま血中に現れ、それに対する免疫の過剰反応として、かゆみや湿疹、腫れ、赤み、喘息、くしゃみ、下痢などの症状が起こり始めます。

フランスの文豪アレクサンドル・デュマは「人は食べた物で生きているんじゃない、消化したもので生きているんだ」といいました。タンパク質はアミノ酸に分解されなければ利用できません。

タンパク質がアミノ酸に分解されていないと、腸はそれを排泄しようとします。大豆やとうもろこしなどがそのままの形で便に混ざっているのは、そのタンパク質が分解できていなかったことを意味しています。しかし、大人は腸が発達しているので異物をそのまま素通りさせることができますが、消化器系の発達が十分でない乳児や子供では、消化吸収の過程で未消化のタンパク質が血液に入ってしまい、アレルギーが起きてしまうのです。

食物アレルギーのもともとの原因として、タンパク質を分解できなかったり異種タンパク質を吸収してしまう消化器系に問題があるといえるのですが、卵、乳製品、肉などたんぱく質の多く含まれた食品を多食する習慣が、アレルギー体質を作っているのです。

◇タンパク質についての評価

タンパク質を摂り過ぎると、硫酸や尿酸などの酸性物質が血液中に生成され、その中和に骨からカルシウムが溶け出し、カルシウムが奪われます。そのため乳製品をあまりとらずカルシウムの摂取量の少ないアジア系人種よりも、乳製品を多く摂る欧米人の方が骨粗鬆症の罹患率が高いのです。

肉食などでタンパク質を多量に摂ると変性したタンパク質が発ガン性物質に変化し、胃ガンや大腸ガンの発症に関与しているとも報告されています。

アンドルー・ワイル(医学博士、自然派の治療を行う)著「癒す心、治る力」にはタンパク質について次のように書かれています。「タンパク質の燃料はクリーンではない。タンパク質には窒素が含まれているため、その代謝の過程できわめて毒性が強い窒素残留物を作り出す。その残留物の処理という負担を肝臓が担い、肝臓はそれを尿素という、これまたきわめて毒性の強い化合物に変える。するとこんどは、尿素を排除する仕事を腎臓が担わなければいけない。そのうえ、免疫系を刺激してアレルギーや自己免疫疾患のリスクを高め、からだの自己防衛機能を狂わせることになりかねない。」

また「悪い食事とよい食事(丸元淑生著:新潮文庫)」にも、アメリカのメディカル・ライターのジェーン・ブロディがタンパク質の害について書いたリストが紹介されており、ワイル博士の言を補足するとこうなります。

・われわれのほとんどは、よい栄養状態のために必要な量の少なくとも二倍のタンパク質をとっている。

・タンパク質を摂りすぎることで、脂肪を身に付けることになる。

・体重あたりのタンパク質の必要量は年齢とともに減少する。体重当たりでみると子供の必要量は大人の三倍である。

・肉、ミルク、チーズ、卵、魚などの高タンパク食品を食べなかったとしても、体の必要とする十分なタンパク質をとることができる。

このことを特別な考えの人だけが言っているのではなく、読売新聞の平成6年3月29日の号にも神戸大学農学部教授保田さんが「タンパク質は今や摂り過ぎです。」とコメントし、タンパク質の窒素は燃えないから尿素になって排出される。だが、摂取過剰になるとうまく排出できず、尿酸となって血液中に残り、通風や腎機能低下の原因になると、タンパク質過剰の害を警告しています。

◇三大栄養素は食品から

脳が働くためにはタンパク質が必要ですが、タンパク質を過剰に摂らせ、糖質が不足すると反対に学習能力が低下することが動物実験で確かめられています。

スポーツ栄養学においても、試合前にはムダを残すタンパク質よりも、「クリーンな」エネルギー源である炭水化物中心の食事が望ましいことが常識になっています。

タンパク質の弊害によるほとんどは、肉や卵など動物性食品をもとにしています。乳製品と全体を食べられる魚を除いて、カルシウムがほとんど含まれていないからです。動物性タンパク質中心の食事はまた、マグネシウムなどミネラルと食物繊維を著しく欠いたものにもなります。

このようにタンパク質は必須であるけれども、摂り過ぎによる弊害がきわめて多く、サプリメントでのタンパク質補助を必要とする人がいる一方で、多くの人は高タンパク食とタンパク質のサプリメントを避けることが無難であるということができます。

サプリメントを摂る上での基本として、正しい食事を心がけた上でサプリメントをとることがあります。特にカロリーを持つ三大栄養素であるタンパク質、脂肪、炭水化物の過剰摂取を避けた食事をすることが望ましくなります。それらの栄養素の過剰が多くの病気を招くことが現在では明らかにされているからです。喫煙よりも、高カロリーの食事の方がより直接的に体に作用します。

 

(杏林予防医学研究所 予防医学ニュースより)