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サプリメントの上手な摂りかた 『天然と合成』

◇ 栄養素はバランスが大事

日本人が白米を食べるようになり始めてから、ビタミンB1不足が宿命的な問題になりました。そのため日本人のほとんどが、つかれ易い、眼精疲労、肩こり、イライラしやすいなどの症状を訴えています。

それに呼応したかのように「アリナミン」や「エスファイト・ゴールド」などのビタミンB製剤が「疲労回復、肩こりに」などの薬効を唱えて発売されるようになりました。医薬品ですので、B2が含まれていれば、口内炎にも効くと記すことができます。

それでよくなる人もいれば、よくならない人もいます。後者の原因として、次のことが考えられます。

1) B1,B2、B6、B12など「B」がつくビタミンは含まれているが、パントテン酸、ナイアシン、葉酸など「Bがつかない」ビタミンB群は含まれていない。

2) やはり日本人に宿命的な、カルシウム欠乏の問題が解決されていなかった。

3) 合成のビタミンであるため、それを効率的に吸収することができなかった。

1) の理由については、ビタミンB群の栄養素はエネルギー代謝、脂肪酸合成の生理作用に おいてそれぞれ協力して働くため、一緒にとることが効率的であるということを意味しています。

B1の不足は解決できても、パントテン酸が不足しているとやはり疲れが残ります。また単独で何かを大量に摂り続けることで、相殺され、欠乏されるものが出てきます。

2)の理由については、B1など数種類の栄養素を補給しても、体液のミネラルの状態がよくなければ、有効に利用できないし、吸収率も低下するということを意味しています。B6が働くためには、亜鉛とマグネシウムが必要とされています。

◇ ビタミンの複合体は「足して」とる

もし疲れの原因がB1であるならば、B1剤がすぐに効き、疲労回復の手助けになるでしょう。しかし、「疲労」は実にあいまいな症状であり、風邪などでの感染、 糖尿病やガンのような病気、あるいは重金属や化学物質の汚染が関係しているケー スもあります。

日常的な疲れの原因は栄養素欠乏か過食によることが多いのですが、現代人に不足しやすい亜鉛やマグネシウムなどの影響が可能性として大きいと思われます。

自分に足りないものを見つけ出して、それだけを補うという方法もありますが、食生活では大体不足しやすいものと大ざっぱに決めて、全部含まれたマルチビタミン&ミネラルを飲んでおくというのが間違いのない方法です。

ビタミンB群が十分に含まれているマルチビタミン&ミネラルをとってもなお、ストレスが強い、外食が多い、砂糖を多くとる、心身ともに元気が出ない、お酒を多く飲むなどの理由でB群を多く取りたい場合は、B1、B2、B6、ナイアシン、パントテン酸が等量で、B12、葉酸、ビオチンが適量含まれる物を選ぶべきです。

なおアメリカ製のビタミンは体の大きなアメリカ人に合わせており「B150」というのがあります。日本人は「B100」を割るか、「B50」あるいは「B25」を利用する方がいいでしょう。過剰症はありませんが、尿から出ていくのでもったいないのです。

◇ 「天然」には有効成分のボーナスが付く

3) の理由については、人工的に作られたビタミンは吸収や利用効率がよくないと いうことです。 その前に、「合成」と「天然」の違いについて、考えてみます。

ビタミンA、B群、Cなど医薬品のビタミンのほとんどは、合成によって作られます。合成ビタミンは油様物質やブドウ糖など安価な材料から大量に作られるため、コストにおいて非常に有利になります。合成ビタミンは、その成分が破壊されないように「硝酸チアミン(B1の化学名)」、「塩酸ピリドキシン(B6の化学名)」など化学的に安定した分子構造に作られています。

一方天然ビタミンはとは、ある種のビタミンを高濃度に含む動植物からそのビタミンを抽出して作られたものです。

例えばベータカロチンは人参油かアルファルファ、ビタミンCはバラの実(ローズヒップ)、ビタミンB群は玄米や大豆、ビール酵母など、ビタミンEは小麦胚芽油から抽出されます。

天然ビタミンは医薬品ではなく食べ物と認識して間違いないでしょう。ローズヒップ中にはビタミンCの働きを助けるバイオフラボノイドが含まれるなど、その材料の成分が有効な働きをすることがあります。

【参考】 合成ビタミンの製法

ビタミンC 分子的に近いでんぷんを材料に発酵や添加などの過程を経て生成させる。

ビタミンB1 化合物に過酸化水素水などを添加する酸化反応から生成される。

ビタミンA アルコールや油に近い物質を凝縮させたり、反応させる過程から生成される。

◇ 合成ビタミンの効力は

食物は胃液で溶かされ、、食物中の栄養素は最も小さな単位の分子に分解されて腸から吸収されます。さらに血液を通して細胞に運ばれ、細胞表面の膜にあるレセプターに結合して初めて「吸収された」ということができ、細胞内でのさまざまな生理的作用に参加する資格を得ます。

天然ビタミンは基本的に普段食べている野菜や米と同じですから、消化器系にトラブルがない場合は効率よく腸から吸収され、細胞内のレセプターにぴったり当てはまります。

「鍵と鍵穴」といい、ビタミンはそのサイズにぴったりあった鍵穴がなければ細胞内に入ることができないのです。仮にビタミンB1誘導体が添加されていたとしても、利用できるかどうかは別の問題なのです。

食品添加物や農薬毒性について多数の著書がある増尾清さんは「合成ビタミンは分子が大きくて細胞に入っていけない」と講演会でおっしゃっておられました。

特にビタミンEは現代の技術でも細胞に適したトコフェロール(Eの化学名)を合成することが難しく、小麦胚芽油や大豆から抽出したトコフェロールでなければ効力は期待できないといわれています。

A、B群、Cの効力については変わらないという識者も多く、また比較したデータもなく、意見が分かれるところです。

アメリカでの「メガビタミン療法」は合成ビタミンを静脈投与(注射)する方法で行なわれました。患者の血液中であるビタミンの濃度が極端に少ないケース、例えば脚気の患者にB1、ぺラグラの患者にナイアシンを投与するには「合成」が適しています。

その人の細胞は欠乏したビタミンを吸収しようと渇していますから、大量のビタミンが入ってきたとき「下手な鉄砲も数打ちゃ当たる」で、吸収されるものも出て来て、欠乏症が抑えられるわけです。しかしながら、治療的な目的を伴わない場合、つまり健康管理のために毎日摂取するには「天然」に理があります。

現代人の栄養欠乏は、食生活の乱れやストレス、汚染に起因するものであり、単一の栄養欠乏ではなく、多くの栄養素の「潜在的欠乏」です。いま解っている範囲で結論すると、長い年月を安全に栄養補給するためには、食品と同じ自然の成分からとられた栄養素を補助することに無理がないのです。

水溶性のビタミンB群とCは、合成であっても尿から出ていくため安全です。しかしながら、短期間での安全であり、B群の中の一部だけを長期化すると、他のBビタミンの欠乏を招く可能性があることは否定できません。

【参考】「合成と天然の比較」

 
合成
天然
製造法 分子構造を変え、化学的に作られる 天然の動植物の組織から抽出される
コスト 大量に低価格で製造できる 素材を追求すると高価格になる。作物の不作がおこるとさらに高価格となる
効果 血中ビタミン濃度が低い人が大量にとると効果的 複合的な潜在性欠乏者が長期間とる上で安全で効果的
吸収 分子が細胞に適応できず、吸収難になる可能性がある 天然の分子なので、細胞に適応し吸収しやすい
利用法 脚気や壊血病、夜盲症からの回復に短期間、集中的にとる 毎日の食生活の不足分を補うために、長期的にとる。主に予防目的

(杏林予防医学研究所 予防医学ニュース103号より)